1990年代初め、日本にまだPFIなどの民営化の仕組みがなかった時、ピーター・ドラッカーの「非営利組織の経営」の本を読んだ。当時、営利企業の中枢でビジネスに邁進していた私は、新たな時代を予感させる彼の言説に魅せられ、いつか自分も民間のマネジメント手法を使って、非営利組織をより機能するものにしたい、と思った。
ドラッカーは「挑戦」の重要性を論じている。そして、彼の言うマネジメントとは、挑戦すべき目標を掲げ、その達成に向けて様々な工夫と努力をすること。それは、競争原理の下、“正解”が見えない状況で、成果をいかに出すかを考えることである。
今私が取り組んでいる民営化の事業も、先が見えない中で試行錯誤の連続である。日本にPFIが導入された90年代終わりに、私は、公共の世界に転進し、従来にない発想で新たな事業の構築に携わり、多くの実績を挙げてきた。そうした中、ドラッカー流の考え方は、まさに非営利組織である公共施設運営にも十分通用すると実感している。今日、PFI、指定管理者制度、市場化テストなど、公共サービスにも競争原理が働く時代になったが、今こそ、公共の分野で、「挑戦」と、それを乗り切るための「マネジメント」の大切さを認識すべきではないだろうか。
私たちの会社は、激動するこの時代に、常に挑戦していく気持ちを大事にして、日々の業務に臨んでいる。これからも、この姿勢を貫きながら、事業者であるお客様をお助けし、より良い公共サービスを創り出すことで、社会に貢献したいと思っている。
菅谷 彰(すがや あきら)プロフィール
1950年、東京生まれ。
74年、東京大学工学部卒業。
東燃石油化学(現・東燃化学)に入社後、20年以上に渡って研究所建設、新規事業立上げ、業界の構造改革等に従事。98年に退社し、民営化の新規事業開拓に携わった後、02年に当社を設立。当社では、指定管理者、PFI等の公共案件に応募する企業・外郭団体等に対し、事業計画策定から提案書作成までトータルサポートを先駆的に実施。東北から九州まで150件以上の公募案件に携わる。
指定管理者では、公園、体育館・プール、文化ホール、生涯学習センター、福祉会館、図書館、科学館、斎場など、PFIでは、学校、病院、火葬場、刑務所、浄水場、図書館、研究所、天文台など、幅広い分野において豊富な知識と実務経験を持つ。
制度や公共施設のあり方、応募戦略や提案書作成の手法等について、専門誌等への寄稿や、公的機関、大手企業、外郭団体等での講演も多数あり。
07年度から、当社が指定管理者の千代田区立図書館のゼネラル・マネジャーに就任。当館は先進的な運営でテレビ・新聞等で注目される。11年度から、日比谷図書館の運営にも共同事業体メンバーとして参加。